護摩の灰

ごまのはい
 TOP > やさしい仏教入門 > 護摩の灰

護摩の灰の偽物が売られました。
転じて、旅人をだまして金品をまき上げる泥棒を、護摩の灰と呼びました。
ゴマカスは、不利益にならないよう、取りつくろうこと。その語源は?


お護摩終了後の灰。

 

  

護摩の灰弁才天 表

 


護摩の灰弁才天 裏

 

  

 
お護摩の灰を以って、山内にて奉製した飛不動尊の御分身。総丈約8cm。

 消し炭

お護摩では、五穀をはじめとして、色々なお供物や護摩木を燃します。お護摩が終わると、少量の灰が残ります。灰と言っても、香炉や火鉢の灰とは異なり、ほとんどが消し炭のような状態です。純粋に自然の物ばかりなので、完全燃焼した部分の灰はごく軽く、火勢で吹き飛んでしまいます。

この消し炭状態の灰は、古くから珍重されています。磨り潰して粘土状にして仏像を造ったり、そのままの状態でお守りとしたり、時には薬のように服用されることもあります。

 偽物

貴重な物となると、必ず出回るのが偽物です。灰ですから、見分けもつきにくく、一回のお護摩で得られる分量はわずかです。したがって有名院の護摩の灰ともなれば、なおさら偽物が多くなり、護摩の灰=悪人の代名詞となりました。

胡麻の蠅ごまのはえは、護摩の灰ごまのはいの聞き違え、と言われています。蠅のしつこくつきまとう、うっとうしさが悪人と重なったのでしょう。

 霊場参拝

江戸時代ころから、一般庶民の旅行が比較的容易になり、霊場参拝に出かける人が増えます。この旅人をねらい、同じ旅人のふりをして、有名寺院の護摩の灰と称した偽物を売ったり、金品をだましとったりする者が横行しました。

霊場参拝の人たちは、尊いお護摩の灰をお土産に持って帰ることが多かったのです。中には霊場参拝といいつつも、目的のおには行かず、他の場所で遊んでしまう者もいました。このような不心得者が、特に護摩の灰にだまされたのです。

 護摩の灰弁才天  浮彫弁才天

天長7年830年7月7日、江ノ島の弁天様で空海が一万座の護摩を焚き、その灰で自ら七体の仏像を造った、と伝えられています。ひとつは江ノ島神社にあり、あとは・・・

大きさはA4版位で厚みは約3cm、表は弁天様を中心として十五童子などが曼荼羅風にレリーフ状に描かれ、裏は空海の左の手形と花押と由緒が書かれています。

真作ならば国宝物ですが、江戸時代に多数の複製品が作られ、全国に点在しています。

 ごまかす

キーボードたたくと、誤魔化す、と変換されますが、これは当て字と言われ、次のような説があります。

護摩に紛らかす、でゴマカス。護摩木には願い事を書きますが、燃してしまうと何が書いてあったか分からなくなってしまう=護摩化す。

胡麻に由来する説もあります。江戸時代の胡麻を使ったお菓子で、中空のものがあり、見掛け倒しからゴマカス。今ひとつは、まずいお菓子でも、胡麻をかけるとおいしく食べられるのでゴマカス。

 (C) Copyright 2011 Tobifudoson Shoboin.All Rights Reserved.

TOP > やさしい仏教入門 > 護摩の灰