十善 と 十悪

じゅうぜん と じゅうあく
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十種類の善い行い=十善。
してはならない十の悪行=十悪。
十の悪から離れる十善戒。 

 

 

 十善戒 じゅうぜんかい

10項目からなる善の戒めを十善戒と言います。戒めですからとは異なり自発的なものです。特に十善戒は、生き方、人としての道、を示したようなものです。

殺生ふせっしょう偸盗ふちゅうとう邪淫ふじゃいん妄語ふもうご綺語ふきご悪口ふあっく両舌ふりょうぜつ慳貪ふけんどん瞋恚ふしんい邪見ふじゃけんの10項目です。

いずれも最初にが付いているので、つづく二文字のことをしない、と言うことになります。十善戒は悪をやめ、善を行わせる戒です。

 十悪 じゅうあく

十善戒の各項目からを取ったものが十悪です。人の行為から三種類に分類できます。

■身による悪
 殺生 生きものの生命を奪う。
 偸盗 与えられていない他人の財物を取る=盗み。
 邪婬 よこしまな男女の交わり。
■口による悪
 妄語 嘘をつく。でたらめを言う。 
 綺語 無意味、無益なことを言う。
 悪口 他人を傷つける言葉。陰口、中傷。
 両舌 他人の仲を裂く言葉。
■意(心)による悪
 慳貪 財物などをむさぼり求める。異常な欲。
 瞋恚 いかり憎む。
 邪見 誤った見解。

分類と項目数を合せて、身三口四意三しんさんくしいさんという呼び方があります。口に関することが四つで、他より多いのは、それだけ言葉遣いは難しいということです。

十悪の中で最も重い悪は、殺生と邪見とされています。悪の強弱によって、次に生まれる世界が、地獄であったり餓鬼の世界であったりします。また人間に生まれても、短命であったり、不幸を受ける、とされています。

 飲酒 おんじゅ

飲酒は、仏教徒ならば誰でもが保つべき基本的な戒=五戒に上がっていますが、十悪には含まれていません。

飲酒は、それ自体が悪とされたのではなく、飲み過ぎると過失や犯罪の原因になることが多いので、これを戒めたのです。

お酒自体は悪とは言えないので、般若湯はんにゃとうとか大乗の茶、といった隠語も生まれました。また、お酒が本性を曇らせ、正しい道理を悟らせないことから、無明むみょうの酒、無明の酔、などという表現もあります。

無明は煩悩ぼんのうに捕らわれ、仏法の真理を理解できない心の状態です。

 遮戒と性戒  しゃかい と しょうかい

戒は内容により遮戒と性戒の二種類に分けられます。

飲酒のように、それ自体は本来悪でなくても、結果として罪を犯す恐れのあることを制する戒を、遮戒といいます。

それに対し、殺生や盗み、邪婬、妄語など、それ自体が本質的に罪悪で、犯してはならない罪に対する戒めを、性戒とか本性戒といいます。

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