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■居士はサンスクリット語のグリハパティの訳です。長者、家主、在家とも訳します。 |
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インドでは、熱心に信仰し、修行する在家の裕富な資産家を居士と呼びました。固有名詞としてはお経に登場する維摩居士ゆいまこじが有名です。 中国では、禅が盛んになると居士と称する人が増えました。白居易などもその一人です。中国では次の4項目を満足する人が居士、としたことがあります。
おおむね出家せずに俗人のまま仏道修行する人を指します。
維摩経に登場する中心人物で、説話の為に理想的人間像として創造された在家の信者です。阿含経に出てくる質多羅しったらがモデルとも言われます。 サンスクリット語の原名はビマラキールティ、毘摩羅詰と音写します。 人物設定は、仏教の教理に極めて詳しい、都市に住む大資産家。実は菩薩の化身とされています。維摩は維摩詰ゆいまきつの略で、無垢な人=無垢称むくしょう、浄名じょうみょうなどと訳されます。
大乗仏教の代表的なお経のひとつで、日本文学にも大きな影響を与えたお経です。 お釈迦様は維摩居士の病気見舞いに、弟子を行かせようとします。しかし、どの弟子もかつて問答で高度な教理を展開され、やり込められた経験があるので断ります。結局、知恵の文殊菩薩が行くことになり、維摩居士と問答をします。 維摩居士の病は、いわゆる疾病ではなく、「生きているモノが病むから私も病む」 という思想的な問題なのです。 維摩居士は、それまでの保守的な考えを批判し、実践的な大乗思想の核心を突きます。そして最後に究極の境地を沈黙によって示します。この部分が特に有名な部分で、「維摩の一黙雷の如し」 と言われています。
戒名の敬称として使う場合、男性の居士に対して女性は大姉ですが、中国では女居士という用い方があったようです。 |
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