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■病人に寄り添い、看病から祈祷までする僧侶を、看病禅師とか看病僧と呼びました。 ■奈良時代に活躍しました。 ■看病禅師は、名称の変化とともに、加持祈祷に専念する役職へと変わります。 |
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病院の中でシスターの姿を見かけたら・・・? では、僧侶の姿を見かけたら・・・ 奈良時代、お医者さんと僧侶は切っても切れない関係で、看病禅師という役職がありました。 仏教では、五明ごみょうと呼ばれる五つの分野の学問も学ばれていました。その五明のひとつに医学や薬学があり、お経とともにその最新の知識が日本へ入りました。 もちろんお経の中にも、身体の内部構造を説明した部分や、病気と食事の関係、治療や養生について説かれた部分があります。
奈良時代は、皇族のために宮中で病気平癒を祈ることが盛んに行われました。このご祈祷をする僧侶は、医療の知識や呪術的な力を具えた禅の僧侶でした。 医療の功績があった禅師で、文献に初めて登場するのは、法蓮という僧侶です。続日本紀の703年と721年の記述の中に出てきます。 天皇や上皇が病気がちだった8世紀中頃は、看病禅師の活躍が目立ちます。756年には聖武天皇のために、126人もの看病禅師が集められました。 また聖武天皇の看病を、法栄という僧侶が担当医師として行ったことも有名です。法栄は祈ることより医薬の面で優れていたようです。 禅師という言葉が、しだいに看病をする僧侶、の意味を持つようになると、本来の禅師と区別するため、看病禅師という呼び名が生まれました。
看病禅師は宮廷に近いことから、しだいに政治権力を握り、法王にまで上り詰める者や、天皇の命を操ろうとする者まで登場します。 看病禅師が政治的な力を持つようになると、国家が危うくなる、と考えた桓武天皇は、看病禅師の呼び名を護持僧に改め、制度改革をしました。 平安時代には医療は宮廷医に、僧侶は祈りに専念することになります。 |
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