一水四見

いっすいしけん
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同じ物でも見る側によって、いろいろと異なって見える。
人間にとっての水は、
魚にとっては住処、
天人にとっては・・・

 

 

 

 

 

 

 

 薬になったり毒になったり

お酒を百薬の長とする人もいれば、お酒は命を削るカナン、お酒は般若湯はんにゃとうと言って知恵の水、とする人もいます。

お酒に変わりはないのですが、見る人によって、薬になったり毒になったり、色々です。

一水四見いっすいしけんは、同じ水でも見方によって四通りに見える、ということを表した言葉です。

人間にとって普通の飲み水であっても、魚にとっては住処であり餌を求める生活の場です。天人には、きれいに透き通ったガラスのように見え、餓鬼には飲もうとした瞬間、火に変わる苦しみの水です。

同じ水も、人間・魚・天人・餓鬼とでは、おのおの異って見える、という例え話です。

同じ環境でも人によって全く違う、という意味で、一境四心いっきょうししん一処四見いっしょしけんという表現もあります。

 あるがままに見る・・・ 

ものごとを、あるがままに見る。簡単そうで難しいことです。

自分が見ている世界は、他人から見てどのように見えるでしょうか。同じものを見ていても、気づかない面があるものです。

人は皆、生まれ育った環境、受けた教育、経験したこと、考えてきたこと、興味を持ったこと、さまざまです。人それぞれに世界観があり、価値観があります。

それがひとつの物差しとなって、いろいろな事を認識しています。

 一月三舟 いちがつさんしゅう

一月三舟いちげつさんしゅうとも読みます。一水四見とよく似た話です。

三艘の船があり、一艘は北へ、一艘は南へ、もう一艘はその場を動きませんでした。しばらくして空を眺めると、さっき見た月が、どの舟からも同じように見えます。

まるで、月が自分の舟に着いて来たかのように見えます。同じ月なのに、見る人の立場によって違いがあることを例えた話です。

この話は、仏様の教えが受けとめる人によって、さまざまに解釈される例えとしてよく使われます。

人間は、その立場立場によって、いろいろと違う見方をするものです。

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