帰  寂

きじゃく
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煩悩の世界を離れて、じゃくめつることを帰寂といいます。
お釈迦様が悟りを開かれた場所を寂滅道場といいます。
帰寂は現在では死の別称となりました。

 置字

白木の位牌では、戒名の上に新帰寂とか新帰元などと書くことがあります。古くは似たような言葉が40種類ほどありました。

いずれも亡くなった人が新しく仏様の世界に生まれて、悟りの世界に入ったこと、もとの真実の世界に戻ったこと、などを示す意味で書かれます。したがって仮の位牌の期間だけで、塗りの位牌では書きません。

通常、白木から塗りの位牌へと換えられるのは、中陰の終わる四十九日を境とします。

 よく使われる寂の字がつく言葉

は人が亡くなったことを表します。命日などを書くとき○年○月○日寂のように使われます。また、お寺の世界では寂があって、といえば葬儀があるので、ということになります。

寂滅じゃくめつ 心の静まりかえった状態、煩悩ぼんのうの炎を鎮めた究極の安らぎ、迷いの世界を離れた悟りの境地です。この境地は涅槃ねはんとも言われます。

帰寂きじゃく 迷いの世界を脱して滅にる、ということです。滅に帰するという意味で、入寂という言い方もあります。また帰元きげん、帰真、帰本、帰化などという言い方もあります。

円寂えんじゃく 修行が完成して一切の功徳を円満し寂滅したことをいいます。完全な涅槃という意味です。

釈迦牟尼仏の牟尼の部分は寂黙者じゃくもくしゃという意味で、煩悩を滅ぼした者、という尊称のひとつです。

 寂滅為楽 じゃくめついらく

輪廻りんねの世界が苦であるのに対し、迷いの世界を離れた境地=涅槃の世界は真の楽しい世界である、というのが寂滅為楽です。

寂滅為楽という言葉は、いろいろなお経に出てきますが、一番有名なのは涅槃経に出てくる一節です。この部分は、いろは歌の原型になった、といわれています。

色は匂へど散りぬるを 諸行無常しょぎょうむじょう
 いろはにほへと ちりぬるを すべての存在は移り変わる
我が世誰ぞ常ならむ 是生滅法ぜしょうめっぽう
 わかよたれそ つねならむ これが生滅する世界の法である
有為の奥山今日越えて 生滅滅已しょうめつめつい
 うゐのおくやま けふこえて 生滅へのとらわれを滅し尽くして
浅き夢見じ酔ひもせず 寂滅為楽じゃくめついらく
 あさきゆめみし ゑひもせす 寂滅をもって楽と為す

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